葬祭業専用アプリは何故難しいか

ちょっと気になった記事(PDF)があったので紹介します。
http://www.ipa.go.jp/NBP/10-1ecabst/pdf/3-1-210.pdf(敢えてリンク先とリンクしない)
これはあるエアコンメンテの企業が葬祭業用の物品調達用アプリを開発して、何故だかIPAが宣伝している。既にこの事業はやめているのかは不明だが、ホームページには掲載されていないことは確かである。記事が作られたのは平成10年(1998年)でまだ世間にTCP/IPとは、インターネットとはと言う時代だ。
ここではソフトのことも当時のことも無駄なことなので言及しない。

さて、本題は「何故葬儀社専用のアプリの開発が難しいか」である。
葬儀社と言うのはある意味、個人商店である。仕入れも取引先もみんな違う。
オヤジの代から、その前からなどがあり、受け継がれている場合がかなりある。それに新たにシステムを作るにも独自の方法があるので専用アプリ等には頼れない。かと言って、ソフトハウスに作ってもらえるほど余裕がない。
作ったとしても使えない。何故ならソフトハウスが葬儀社を理解していないから、自分たちの思い込みでソフトを作って葬儀社へゴリ押しする。

葬儀社のシステムと言うのは各社文化があり、受け継がれている故に根が深い。仕入れと言うのは商品によって異なる。一つのシステムに乗せるにはどれくらいのシステム変更が伴うか。単純であるはずの出棺のみの儀式でも少なとも50の単位の備品の数が動く。大きい物だと棺や霊柩車。小さい物だと帷子(かたびら)の備品やお花、場合によっては線香、ろうそく、香炉、香炭。忘れてはならないのはドライアイス。

葬祭業の市場規模は以前数兆円と言われた。上記のリンク先では1兆円と書かれているが、葬儀社の手に入るのはもっと少ない。市場と言っても、お坊さんのお布施から霊柩車、食事、生花なども全部含まれてしまっている。これらを1つのアプリで統一することは出来ても、発注先まで管理することは到底不可能に近い。一番難しいのが仕入れ先や価格変動によってデータベースマスター情報が常に変わることだ。専任のSIを数名待機させていないと間に合わないのが事実であり、一番効率が良いのはアナログ管理である。

となりの葬儀屋さんとは価格 も商品も全く異なると理解して欲しい。つまり同じ30万円の葬具料(ここでは「葬具」と呼ぶのは葬儀全体の金額ではないからだ)を比べても儀式的に内容は似ていても、備品やスタッフが異なり、同じ物の提供はあり得ない。車ディーラーで車を買うのとは違う。メーカが異なると全く違うことを(左ハンドル、右ハンドル、AT/MTレベルではないと)。唯一統一されているのが兵庫県の生協のクレリシステムズさんの葬儀だ。
面白いことにうちはクレリさんとも、このシステムを導入したところともすごく仲が良く、情報交換グループを築き上げていた。結局は数社のみの活用で失敗に終わったとしか考えられない。

一般的な葬祭業の 備品点数は軽く万単位を超える。備品が小さいものから大きいものもあり、これだけの情報を入れ込むことがどれくらい複雑且つ大変か。大病院のシステムを担当するくらいのシステムが必要であり、細かいのだ。

葬儀を見積もるとき、もう一度、考えて欲しい。
葬儀以外に食事の量、礼状の数、返礼品の数、お花の数など変動費がかなりあることを。必ず相談して欲しい。

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